住宅ローンの事前審査と本審査を徹底解説!
一般的に住宅ローンは、事前審査(仮審査)と本審査の2つがあり、それぞれ共に承認されてはじめて利用できます。
1.住宅ローンにおける事前審査(仮審査)・本審査とは?それぞれの違い
事前審査(仮審査)は「融資できるかどうか」を審査。
本審査は不動産売買契約を結んだ人を対象に「本当に融資していいか」を審査するものです。
(1)事前審査
金融機関へ住宅ローンの申込みをする際にまず行うのが事前審査(仮審査)です。事前審査(仮審査)は、誰でも無料で申し込み可能です。購入したい物件が見つかり、資金計画が決まればいつでも申込みをすることが出来ます(一部の金融機関では物件が未定でも申し込みが可能です)。審査時にチェックする内容は住宅ローン利用者の属性(年収・勤続年数・会社の規模等)及び返済計画(年収に対して借入が過大ではないか)が主であり、比較的短い日数(即日〜3営業日程度)で回答が出ます。
(2)本審査
事前審査(仮審査)が通り、不動産の売買契約を結んだ後に行うのが本審査です。事前審査(仮審査)とは異なり、より多くの情報をもとに審査が行われます。事前審査(仮審査)の内容に加えて物件の担保評価や物件瑕疵はないか、取引関係人に反社会的勢力はいないかなど、住宅ローン利用者から提出される各種書類をもとに審査が行われます。一般的に一週間から二週間程度審査に時間がかかります。
(3)審査条件
約9割の金融機関が以下の9項目を審査項目としています。
・完済時年齢
・健康状態
・担保評価
・借入時年齢
・年収
・勤続年数
・連帯保証
・金融機関の営業エリア
・返済負担率
これらはだれが申し込んでも必要となる項目で、長期的な返済計画が成り立つか判断する上で必要となる項目になります。しかし、それ以外の項目も場合によっては重要視されることがあります。例えば、雇用形態が派遣社員の場合、長期的に収入があるか判断が難しく、審査が厳しくなる場合もあります。
2. 事前審査(仮審査)のポイント
(1)役割
売買契約前に行う事前審査(仮審査)はスピーディな回答が求められます。事前審査(仮審査)の回答が出るまで住宅ローン利用者は売買契約ができず、審査中に買いたい物件を他の人に買われてしまう可能性があるからです。従って、事前審査(仮審査)は最低限必要な本人確認書類(運転免許証や保険証)や源泉徴収票を基に行われます。また、オンライン申込みの場合は、住宅ローン利用者が入力した情報のみで審査を行います。
(2)審査内容
事前審査(仮審査)で金融機関や保証会社がチェックするのは主に住宅ローン利用者の返済能力です。借り入れ希望額に対して滞りなく返済できるだけの収入があるか(返済比率)や、住宅ローン以外の借り入れがないか、個人信用情報に懸念がないかを確認します。原則物件のチラシの情報から簡易的な担保評価も行いますが、オンライン申込みの場合は物件評価すら行わない金融機関もあります。
(3)必要書類
本人確認書類(運転免許証や保険証)、源泉徴収票
(4)注意点
事前審査(仮審査)では、金融機関が個人信用情報の照会を行います。従って、一度に多くの金融機関の事前審査(仮審査)を申し込むと多くの個人信用情報の照会が行われ、その履歴が付くので、審査にネガティブな影響を与える場合があります。事前審査(仮審査)は多くても3行程度に留めるのがいいでしょう。また、一般的にネット系金融機関は事前審査(仮審査)時に物件評価をしないので、店舗型金融機関に比べ事前審査(仮審査)が通ったものの本審査で否決になる可能性が高くなります。
3.本審査のポイント
(1)役割
本審査は金融機関にとって住宅ローンの申込みに対する最終回答ですので、1〜3週間程度かけて慎重に行われます。必要書類に関しても、事前審査(仮審査)とは異なり取得に費用がかかる公的書類(印鑑証明書や住民票等)や物件関係の書類(売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書、建築確認申請書等)が必要になります。
(2)審査内容
事前審査(仮審査)の時に簡易的にチェックした返済能力の再検証に加え、担保評価や物件瑕疵がないか、違法建築ではないかといった適法性の判断がなされます。金融機関によっては、物件評価のために現地まで出向く場合もあります。
(3)必要書類
公的書類(印鑑証明書や住民票等)、物件関係の書類(売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書、建築確認申請書等)
(4)注意点
本審査時に住宅ローン利用者の状態も再度確認するため、事前審査(仮審査)後に他借り入れが増えていたり、延滞が生じていたりすると本審査で否決となる可能性があります。
4.よりよい条件で審査承認を得るには
住宅ローンの審査について説明して来ましたが、よりよい条件で審査承認を得るためのポイントは下記の通りです。
(1)返済計画に無理がないかを確認する
自分の収入・ライフスタイルに応じて、無理のない返済計画を立てましょう。住宅ローンは最長35年間に渡り返済していく必要があります。その間結婚・出産・転職・子供の進学等、様々なライフイベントが想定されます。現時点で精一杯背伸びした金額ではなく、将来的に考えても少し余裕を持って返済出来る金額を借りることをお勧めします。
(2)物件に特殊性がある場合には事前に金融機関に確認する
特殊な条件(借地権、地上権、コーポラティブハウス、旧耐震基準、市街化調整区域等)の物件を購入する場合は、当該物件を対象とした住宅ローンが利用可能か、事前に金融機関に確認することが重要です。物件自体が住宅ローンの対象にならないと、全ての作業が無駄になります。